経営事項審査は一般的には略して「経審(ケイシン)」と呼ばれます。既に毎年受審されている事業者さまにとっては当たり前のことばかりですが、建設業を始めてまだ間もない場合や、他業界から参入してきた事業者さまにとっては意外と知らないことも多いようです。
経審では受ける業種ごとに完成工事高を算出して点数が算出されますが、この業種ごとの完成工事高を他の業種に加算することができる制度があります。これは「積み上げ」や「振替」と呼ばれていて、これをうまく使えば受審業種の売上高を大幅に引き上げてP点をアップさせることができます。
経審で積み上げをすればP点を上げられる
経審では、許可業種全種類を必ず受審しなくてもよいため、受審しない業種に完成工事高が存在していることがあります。何もしなければ実際の完成工事高のままですが、積み上げ(振替)が認められている業種同士では受審しない業種の完成工事高を受審する業種の完成工事高に加算することができます。P点を上げたくない場合は積み上げをしないこともできます。
(積み上げする完工高の金額によっては積み上げしても点数が変わらないケースもありますので必ずP点があがるわけではありません。)
あわせて読みたい業種の考えかた(経審編)
投稿日時:2024年10月25日
経審の業種の考え方や自社の受審業種のお悩みをおもちではありませんか?経審の際、受ける業種の工事の内容が確認できる書類(契約書、注文書、請書など)を添付します。取得済みの許可業種全種類の経審を受けなくてもよいので、売上がある業種の経審であっても自社の判断で受けないことが可能です。
積み上げできない業種もある
もちろん、この積み上げ(振替)は無制約ではなく、「関連する業種間においてのみ可能」です。例えば、建築一式工事と建築一式に関連する業種間ではOK、建築一式と関連しない業種との間ではNGとなります。
「一式」とついている業種は他にも「土木一式工事」があります。この土木一式工事と土木一式工事に関連する業種との間でも先ほどの例と同じように積み上げ(振替)が可能になるケースがあります。
建設業の業種の考え方は総合的相対的な面がありますのでそもそもの業種判断が難しい面があるのですが、建築系と土木系という分類の仕方は比較的イメージしやすいかもしれません。
積み上げする前に確認しましょう
この積み上げ(振替)が許容される業種は各自治体の判断によるところがあり、全国統一の基準がありません。積み上げ(振替)を検討している場合は、知事許可なら都道府県、大臣許可なら整備局の判断になりますのでそれぞれの許可行政庁がどういうルールを採用しているか確認してから実行するようにしてください。
経審業種振替資料(大阪府手引より引用)
ただでさえ複雑多岐にわたる経審の中でさらに少し特殊なことをやりますので勝手に早合点して申請内容を組んでしまうと、実はその自治体では許容されていない業種間の積み上げ(振替)だった、となりかねません。
ある程度の経験を積んでいる行政書士なら申請予定業種と事業者さまの状況をみただけで「この業種はこちら(の業種)に積み上げられますがどうしますか?」と聞いてこられるかと思います。
経審で積み上げ(振替)をしたいとお考えですか?
経審で業種間の積み上げをうまく利用することでP点をあげられる可能性があります。決算日後からでも着手できる数少ない点数アップ対策ですから上手に活用したいとお考えではないでしょうか。
当事務所では経審の積み上げを含め、経審全般のご相談も承っております。