経営事項審査は一般的には略して「経審(ケイシン)」と呼ばれます。既に毎年受審されている事業者さまにとっては当たり前のことばかりですが、建設業を始めてまだ間もない場合や、他業界から参入してきた事業者さまにとっては意外と知らないことも多いようです。
経審において、業種の考え方はどのようになるのか解説していきます。
経審の業種は実態で判断される
経審の際、受ける業種の工事の経歴の中から代表的なものの契約書(工事内容が確認できるもの)を添付します。契約書の他にも注文書・注文請書、請求書・領収証の組み合わせでもOKというパターンもあります。このあたりは審査する行政庁(都道府県や各地方整備局)によって違いがありますので確認してみてください。
経審は全業種受けなくてもよい
取得済みの許可業種全種類の経審を受けなくてもよいので、売上がある業種の経審でも自社の判断で受けないことが可能です。反対に売上はないが、許可を持っている業種で経審を受けることも可能です(点数は低く出ます)。このあたりの決め方は入札への入り方や将来的な計画なども含めて判断する事が多いため、単純に「売上が多い業種順」とならないことも珍しくありません。
戦略的な視点で受ける業種を決めるのもあり
例えば、自社の売上が一番多い業種について、地元に競合が多く、また競合が大きな規模の会社だと、経審のP点で上回ることが難しくなります。ランク分けなどで住み分けできるケースもありますが、もしランク分けがない自治体や業種だと大手と同じスタートラインで競争しなければならなくなります。一方で、自社でも売上規模は大きくないが、競合他社が少ない業種だとライバルが少ないといえますからもしその業種で入札案件があるようだと落札しやすくなります。
点数を上げたい業種に完工高を移せる「積み上げ」
経審では、関連する業種の売上を特定の業種に振り分けることができます。これを「積み上げ」や「振替」と呼んだりします。積み上げ元の業種では経審を受けることはできません。積み上げ元の一部の金額だけを積み上げ先の業種に振り分けることもできません(積み上げをする/しないの2択)。P点を高くしたい(集中させたい)業種を積み上げ先にできるのであれば積み上げは積極的に利用したい制度といえます。
大前提は責任をもって施工できる業種の経審を受ける
経審は入札参加のためといえますが、落札して実際に公共工事を受注することになりますから、参加する入札案件の工事を間違いなく施工できなければなりません。せっかく落札して受注したのに施工できないようなことになるとその自治体からの信頼は失墜してしまいます。翌年以降にいくらP点を上げ、施工体制を充実させたとしてもおそらくその自治体からは当分、発注はしてもらえないでしょう。
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