「軽微な工事」といえば、請負金額500万円未満の工事で、建設業許可を持っていなくても請け負うことができる工事です。
建設業許可申請の際に、それまでの施工実績としてこの軽微な工事の資料を収集することになります。建設業者における役員経験や、技術者資格の要件を満たす方をお持ちの方が社内にいれば施工実績の資料を集める必要が無いケースもありますが、たいていの場合、経管(旧称)や営業所技術者等のどちらか、あるいはどちらもでこの「軽微な工事」の実績資料を収集するケースがほとんどです。
「軽微な工事」といえば、建設業許可取得前に受注できる工事という認識が一般的かなと思います。では、建設業許可取得後は、この「軽微な工事」はどのように考えることになるのか、解説します。
建設業許可の取得=純粋にできることが増える、ではない
建設業許可取得はイコール事業可能範囲の純粋な拡張か?というと必ずしもそうはならないことがあります。建設業許可を取得することは建設業法を遵守することが強く求められます。建設業許可取得前も建設業法は遵守する必要があるのですが、守るべきもの(許可)がない状態という考え方も不可能ではありません。
建設業法上の「建設業者」とは?
建設業法では、「建設業者」を「許可を受けて建設業を営むもの」というように定義しています。つまり、許可を取得する前は建設業法上の「建設業者」の定義には当てはまらないことになります。建設業法では、様々な要件や制約について記載されています。「建設業者」は、建設業法の規定に従うからこそ、許可という特別な権利が与えられています。「建設業者」にまだ当てはまらない許可取得前の建設業者は、許可という特別な権利がないので軽微な工事しか行えません。
一方で、「建設業者」の定義に当てはまらないからこそ、建設業法の規制の対象から外れることも数多く存在します。例えば、毎年の決算確定後4カ月以内の決算変更届(決算届)の提出義務や、変更事項があったときに提出する変更届の提出義務がありません。許可を取得していないので、許可の更新もそもそもありません。
建設業法上の営業所について
建設業法上の「建設業者」は、営業所を1つ以上設置する必要があります。営業所が単一の都道府県にしかない場合(営業所数ではなく、営業所が存在する都道府県の数)は、都道府県知事許可、複数の都道府県に存在する場合は、国土交通大臣許可を取得することになります。
許可取得業者が複数の営業所を設置する場合に必要なこと
許可を取得した建設業者が建設業法上の「営業所」を設置するには、事務所の代表者(令3使用人)と、営業所技術者等を必ず設置しなければなりません。これを満たした「営業所」でなければ建設業(工事)を行うことができません。
では、軽微な工事しか行わない許可取得していない事業者は、というと、先ほどの建設業法上の「営業所」ではないので(「営業所」を設置できる条件を満たしていないから許可が取れていないとも言えます)、令3使用人も営業所技術者等も設置する必要がありません。そして、その「営業所」には該当しない事業所では、建設業(工事)を行うことができます。もちろん、500万円未満の「軽微な工事」であることは必須ですけれど。
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複数の営業所があっても大臣許可がいらない場合があります
許可取得業者が、建設業法上の「営業所」ではない事業所で、500万円未満の「軽微な工事」を請け負うことはできるか?
これは、請け負うことはできない、が正解です。許可を取得した建設業者は、建設業法上の「営業所」に該当しない(させられない)事業所では、金額の多寡に関わらず、建設工事を請け負うことができません。つまり、許可を取得したからこそ、制約が生まれてしまっているとも言えます。
知事許可の場合は、建設業法上の「営業所」が近くにあるでしょうから、その「営業所」で建設業を行えばよいですが、営業範囲が広めの建設業者さまの場合は、「500万円未満だから大丈夫だろう」と油断しないように注意していただき、必ず建設業法上の「営業所」のみで建設業(工事)を請け負うようにしましょう。
なお、建設業には、契約行為や商談、見積などの行為も含まれますので、工事さえ行っていなければ大丈夫というわけでもありません。
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