建設業界で「入札」といえば通常、建設工事カテゴリの入札のことをさします。そのため、建設業界で入札に参加するためには、建設業許可と経営事項審査の2つが必須だと思われがちです。
入札にはどこの自治体にも経営事項審査もいらず、建設業許可すら不要で、建設業者が参加できる入札があります。経営事項審査を受けなくても参加できる入札について解説します。
経営事項審査がなくても参加できる「物品役務(委託)」
経営事項審査を受けなくても参加できる入札とは「物品役務(委託)」カテゴリの入札です。基本的に建設業許可は不要ですし、経営事項審査を受けている必要もありません。“基本的に建設業許可は不要”と書いたのは、中には入札参加から落札までは建設業許可は不要だが、実際に施工する段階では建設業許可が必要だったというケースが稀にあるからです。この場合には発注者(自治体)の建設工事/物品役務という分類分けを信じて施工してしまうと建設業法違反に問われる可能性がありますので注意してください。こういったケースについては、こちらの記事で解説しています。
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物品役務のカテゴリで出されている入札は、その名のとおり、役所で使う物品の調達や建設工事には該当しない作業(役務)のような内容が多いでしょう。例えば、役所で使う文房具やPCの調達だったり、公共施設の清掃などがイメージしやすいでしょうか。
物品役務の入札は建設業者でも参加可能
これらの文房具やPCの調達や、施設の清掃などの入札に建設業者が参加することを禁止している自治体はおそらくありません。与えられた仕事をきちんと請け負えるのであれば建設業者であろうが建設業者以外であろうが、発注者の自治体にとってはどちらでもかまわないのです。
物品役務への入札参加資格は必要です
もちろん、物品役務(委託)のカテゴリに入札参加資格審査申請をしておくことは必須ですが、建設業者だから建設工事のカテゴリにしか参加できないことはありません。建設業者であれば(建設業許可と経営事項審査を受けていれば)、非建設業者よりも参加できる入札が多い、と考えるのが正解です。
物品役務の案件の中に建設業者が得意とする案件は少なくありません。先ほどの例のPCの調達を例にとってイメージしてみると、例えば自社が電気通信工事業や電気工事業の許可をもっているなら、設置工事や配線工事と一緒に設置するPCの手配(調達)も併せて依頼されることがあるのではないでしょうか(PC等電子機器の導入のために工事が必要、というパターンの方が多いかもしれません)。
一定額未満なら建設工事でも建設工事がいらない入札がある
また、自治体によっては案件の内容で「建設工事」と「物品役務(委託)」に分けている以外に、金額で申請のカテゴリを分けていることがあります。建設業許可が要らないような100万円未満や200万円未満などの金額で分類し、「小規模営繕(修繕)」というような名称で参加希望業者を募集していることがあります。この「小規模営繕(修繕)」の案件の中にも、建設業者が参加できる(参加しやすい)案件があります。
「小規模営繕(修繕)」に参加する場合は経営事項審査を不要としているケースが多いでしょう。経営事項審査を必要とさせたいのであれば通常の入札(建設工事)で出せばいいからです。