建設業許可は取得がゴールではありません。決して簡単なハードルではないので許可を取得して安心してしまいがちですが、実は許可を取得した後の方が制約が多くなります。建設業許可を取得するということは、建設業法を絶対に守ると行政と約束したようなものです。
建設業許可が不要な範囲で建設業を営んでいるときなら、停止や禁止される許可をそもそも受けていないと見れば、施工金額に上限はあるものの、リスクもそれほどない状態と言えるかもしれません。
建設業法を遵守する
文字にすると当たり前ですが、実はそんなに簡単ではありません。
建設業は建設業法ができる前からある産業なので昔からの商慣習が根強く残っている業界です。特にトラブルになっていなければあまり意識しないで済んでしまっていることもあります。
ところが何かトラブルが発生したときに「うちは昔からこれでやっているんだ!」といくら言っても、建設業法で必要と定められている書類が保管されていなかったりすると、即、処分の可能性が高くなります。
許可を取得するときに全ての建設業者が「誓約」しています。
許可申請をする際に、全ての「建設業者が建設業法等を遵守します」という誓約書を提出しています。つまり、言い訳は通用しないのです。
毎年、事業年度が終了したら4カ月以内に報告が必要
建設業許可を取得した全ての建設業者は毎年、事業年度終了後4カ月以内に許可行政庁に届出が必要です。決算届とか決算変更届という名称がついていることが多いです。法人の場合は事業年度終了後4カ月以内、個人事業主は12月で事業年度が終了しますので毎年4月末までに提出、ということになります。
法人でも個人でも決算が確定したら税務署だけではなく、都道府県や地方整備局に決算に関する届をする必要がある、と憶えて下さい。
何か変更したことがあったら変更を届出る
建設業許可を取得すると、社内で何か変更したことがあれば変更届が必要になる可能性が高いです。たとえば大まかにいうと
- 役員が変わった(入った、抜けた)
- 株主が変わった
- 営業所の所在地が変わった
- 役員の姓が変わった
- 営業所を新設(廃止)した
- 営業所技術者等がいなくなって許可業種を維持できなくなった
届出る必要がある事項を細かく暗記するよりも「何か変われば変更届がいる」くらいの意識の方が良いと思います。
書類や帳簿をきちんと作る
工事請負契約書や、施工体制台帳など、各種書類や帳簿類などをきちんと作り、保管しておくことが求められます。建設業許可申請の際でも様々な証明をするのに保管されているべき書類を求められます、建設業は、工事に関する書類を保管していることを前提に、制度設計がされています。
決められた技術者(職人)を配置する
建設業法上、現場には必ず技術者を配置しなければなりません。主任技術者や監理技術者という呼び方で呼ばれます。建設業界でよく耳にする「現場監督」とはイコールではありませんのでご注意ください。
請け負う工事契約の態様や請負金額、下請けに発注する金額などでどちらの配置技術者を配置する必要があるかが変化します。大規模な工事であれば監理技術者を配置しなければならない可能性が上がります(請負金額だけで決まるわけではありません)。
有効期限内に更新する、更新できるようにしておく
これも文字でみると当たり前だと感じると思います。ところが、私たち行政書士のところには、「更新期限が迫っているのに何もできていない…」とか「このままの状態では更新できるかわからない…」というお悩みやご相談を本当にたくさんいただきます。
建設業者のみなさまにとっては、売上を生み出すのは現場です。許可の申請や変更届ではありません。現場優先になりがちなのはやむをえないと思います。でも、その売上を生み出している現場は許可があるからこそ請け負うことができます。
許可期限があまりにも迫ってしまっていると時間的にどうしようもなくない状態になってしまうケースはあります。そうなってしまう前にぜひ行政書士にご相談ください。
建設業許可を取得した後のことでお困りではありませんか?
当事務所では、建設業許可取得の際だけではなく、建設業許可を維持していきたい、建設業許可をもっと活用したい、とお考えの際のご依頼・ご相談を承っております。